光を背負う、僕ら。―第1楽章―

一度は起き上げていた体を、再び柵に預ける。



視線の先にある運動場では、低学年から高学年までのたくさんの児童が、それぞれ好きなことをして楽しんでいた。




「…あたしも…。」



「…?」



「…あたしも、噂に流されて、伸一を好きになったのかな?」



「佐奈…。」





サァァァァーー……。





か弱いあたしと戸惑う実夏の声をかき消すように、風が強く吹いていった。




しばし沈黙が流れた。



そんな沈黙を優しく包み込むように破ったのは、実夏だった。




「……それは、違うんじゃない?」



「……。」




あたしは何も答えられなかった。



それでも、実夏は続ける。




「佐奈はさ、違うんじゃない?だって今でも、好きなんでしょう?」



「…そうだよ。でも…。それでも噂に流されたってことはあるし。」



「佐奈は、そう思ってるの?」



「……。」




せっかく出た声だけど、またすぐに出なくなってしまった。



…違う。



答える言葉が見つからなかったんだ。