光を背負う、僕ら。―第1楽章―

あの時気付いていたら、何かが変わっていたとは限らない。



……でも。



もしもあの時気付いていたら、もう少し。



もう少しだけ、この胸に溢れかえるこの悲しみを、和らげることが出来たんじゃない……かな。




“もしも”なんていう仮定の考えをいくつ並べたって、今ある現実は変わらない。



だけどあたしはしばらくの間、叶わぬ“もしも”を期待しながら、悲しみの涙を流していた。







時に噂は、おしゃべりのいい話題となる。



芸能人の恋愛話、担任の先生の子供の話など、時には楽しく盛り上がるいい話題の種だ。



でもそんな噂の中には、誰かを悲しませるものもある。



今回の噂だってそうだ。



伸一は、学年の中では一番と言っていいほどの人気者。



そんな伸一に彼女が出来たのだ。



あたしを含む女子のほとんどは、悲しみにのまれたに違いない。



けど、女って怖い。



しばらく落ち込んだかと思うと、すぐに新たな人気者に飛び付いたのだ。



どうしてそんなすぐに立ち直れるのか、あたしにはわからない。



だってあたしはまだ、伸一を想っているから。