聞こうとしなくても、クラスのみんながそのことについて話しているのだから、自然と耳に入ってきたんだ。



だから実夏があたしを心配していた時、すでにすべてを知っていた。



だからこそあたしは、実夏に心配されても平然を装うって思った。



心の奥で溢れかえる衝撃を、誰にも気付かれたくなかったから。





「…っ、ひっく。」




どんなに衝撃的な事実を知ったって、泣かないでおこうって、自分に言い聞かせていた。



だって、まだ頑張り始めたばかりだったんだもん。



まだ始まったばかりで、こんなことでくじけちゃいけないって思ってた。



なのに、どうして涙は流れるの?





目をふさいでいても、さっき見た二人の姿がくっきり浮かんでくる。



今さらになって気付いた。



二人は、とっくの前から両想いだったんだ。



少なくとも五年生の時にあたし達、“運命仲間”が同じ班になった時には、もう……。




どうして気付けなかった?



あの時の伸一が真奈を見る目は、あたしが伸一を見る目と同じだったじゃない。