「……っ。」




一瞬だけ、嗚咽が漏れた。



でもあたしはにじみ出す涙をこらえて、出来るだけ嗚咽も漏れないようにする。




こんなことぐらいで、泣いちゃダメ…。




そう強く思い、必死に涙をこらえていた。




どうして実夏が、あたしをやけに心配するのか。



どうして伸一と真奈が、仲良さげに一緒にいたのか。



どうして二人を、たくさんの人が冷やかしていたのか。



どうしてあたしが今、泣いているのか…。




すべての訳は、あたしが一番よくわかってる。



そう、全部――。




それを知ったのは、つい先ほどのことだった。





「ねぇねぇ、聞いた!?」



「うん、聞いた聞いた!あの二人のことでしょう?」



「そうそう!あの二人、伸一君と真奈ちゃんって、付き合ってるんだってね!」




新学期早々クラスのみんなを虜にした話題は、伸一と真奈のことだった。



なんでも、伸一と真奈が付き合いだしたらしい。



進級する前の、五年生の終業式の日から…。




あたしがそのことを知ったのは、新しい教室に入った時だった。