光を背負う、僕ら。―第1楽章―

どうせ席に座っているなら、黙って座っているよりも本を読んでいたほうがいい。



そのほうが、伸一が傍にいることも意識しなくてすむはず。



あたしはしおりとして挟んであった紐を動かし、ページを開く。



開けたページは、ちょうど本の真ん中あたりだった。



開けたページを、静かに黙読し始める。



伸一が傍にいることを意識しないために、必死に神経を本の世界に集中させる。



そして気がつけば、完全に本の世界に入り込んだ頃だった。




「あっ、それ!」




突如、入り込んだ本の世界に聞き慣れた声が飛び込んできた。




…もう、誰?


今、すごくいいシーンなのに…。




そう思いながら現実に戻る途中、先ほど聞こえた声が聞き覚えのあるものだということに薄々気付く。




あれっ、さっきの声って…。




ドキ…ドキ…ドキ…




いつの間にか、鼓動が速くなっていく。



あたしの心はすでに、声だけでドキドキしていたのだ。



あたしは本から目を離し、先ほど声を発した人物がいる方をゆっくりと見た。