光を背負う、僕ら。―第1楽章―

…ううん、違う。



あたしは、伸一に言ってほしかったんだ。



「今度は同じ班になれなくて、残念だったな」って。




少しでもいい。



少しでもいいから伸一に、あたしと同じ班じゃなかったことを残念に思ってほしかった。



そう思ってもらえるだけで、席が離れてしまったことを吹っ切れるような気がしたのにな…。




それからのあたしは先ほどまでとはいっぺんして、一言も話さなかった。



席替えの発表が終わるまでの短い時間、あたし達5班は別れを惜しむように喋っていた。



ただ、あたしを除いてだけど…。



自分から口を開くことはなく、みんなの話に合わせてただ頷いたり、笑うことだけをしていた。



笑いは本当に笑えるはずもなく、ただぎこちない作り笑いを保った。



でも不思議なことに、あたしが班の中で一人だけ口を開かないことも、作り笑いをしていることも、誰一人指摘しなかった。



誰にも変化を気付いてもらえないことは何かしら虚しい気もしたけれど、いつしかそれさえどうでもよくなった。



達也は次でも同じ班だけど、他の二人はどうせ離れてしまう。



ならいっそ、今から離れた存在になれた方がいい。