「…うん、ていうか"別れる"とか言われた…。友達が良いならそっち行けばとか言って…。」
美紀は少し不機嫌そうな表現を見せながら言った。
「えっ、それひどくない?」
莉奈は本音でそれを言った。
「でも、二人でいる時は普通に超優しいし、私も楽しいし…、だから正直今はマサキ君かな…。」
美紀は親友との時間も欲しかったが、その求愛に勝る物はなく、そんな心情を話した。
「………。」
莉奈は正直そんな男のどこが良いのか…、と心で思ったが、ふと自分に置き換えて考えてみた。
もし誠二がそんな性格の持ち主だったら…。
自分は果たして彼を好きになっただろうか。
というより、好きで"いられた"だろうか。
元々莉奈はまったく交遊関係のない状態から誠二との交際が始まった。
つまり、最初からそれを知り得る事は出来なかったのだ。
仮に付き合い出してからそんな人格が露呈されたとして…、それでもやはり求愛の度合いは変わらなかっただたろう。
人格も知り得ないのに莉奈の中でその求愛が生まれた以上、性格など些細な事に過ぎない。
人格を優先して興味、もしくは恋心を抱いたのだとしたら、もちろんそれは露呈された瞬間から莉奈の中で次第に感情が薄まり、やがて自らでその対象に嫌悪を感じる程にもなるだろう。
しかし、外見だけを見て莉奈が虚像ともとれる勝手な誠二のイメージをあらかじめ確立していたのだとしたら…、その後に誠二から何が露呈されても、莉奈は自分が作った誠二のイメージを強く保ったまま全てを許してしまう。
外見から形成するイメージ程完璧な物はなく、醜い人間なら抑圧された謙虚な人格だと思い、美しい人間なら外向的でプライドが高い人格だと思われやすいだろう。
補うようにバランスの取られたイメージの人格形成は、まったくと言って良い程当てにはならない。
これは極論だが、醜い人間が外向的かつ異性の扱いに長ける人格といった例は意外にも多い。
相対して美しい人間が抑圧された性格で、異性間でのコミュニケーションを苦手とする人もいる。
というより、大多数を占めると言っても過言ではない。
