「明日学校休みだし門限とかは大丈夫なんだけど…、でも…。」
美紀はやはり見知らぬ莉奈という少女を心から信用はしていない様子でそう言った。
「ていうか…、他に友達とか呼んでも全然良いよ。正直莉奈一人でいるのも寂しいし…。」
莉奈は信用を得る為と、あわよくば美紀が真理を呼び出してくれないかと期待して言った。
「えっ、本当に?…じゃあ"真理"呼ぼうかな。」
美紀は言った。
「!?」
莉奈は一瞬目を見開き、あまりに都合の良過ぎる展開に驚いた。
莉奈は美紀と真理がこんな軽はずみに呼び合える程の間柄とは知らず、学校での偶然の交差を一つの奇跡のように感じていた。
「…多い方が楽しいしね。」
莉奈は後押しするように意見を付け足した。
「ん〜…、あの真理って私の親友なんだけどさ…、最近あんま遊んでなくて…。」
美紀は軽い相談事のようなニュアンスで言った。
「…何で最近遊んでないの?」
莉奈はこの機を逃すものかと一言一句聞き漏らさない覚悟で聞き役にまわった。
「だってほらっ…。付き合い出してからちょっと時間なくて…。」
美紀はバスルームにいる田辺を指さしながら言った。
「…束縛とか?」
莉奈は小声で言った。
「……うん…、あんま他で遊ぶと怒る…。」
美紀は莉奈の耳元まで顔を近づけながら極端に小声で言った。
「えっ、女友達と遊ぶのも駄目なの?」
莉奈は耳を疑いながら言った。
「……うん。」
美紀は不満げな表情を見せてはいたが、やはり田辺に恋心を抱いている以上、それを一つの愛情表現だと捉え、自分が愛されているという現状に喜んでいた。
瞬時にそんな在り来りな女性の心理を読み取った莉奈は、哀れむような顔で美紀の話しを聞いていた。
「でもお互い好きなら…、ね?」
"両想いなら全ては成立する"という、これもまた在り来りである意見を莉奈はかい摘まんで言った。
「まぁそうなんだけどさ…、でも真理は一年からの親友だし、やっぱり大事にしたい…。」
美紀は言った。
「それちゃんと言った?それでも駄目だって?」
莉奈は言った。
