僕らの背骨


誠二にメモを見せられた時…、莉奈は誠二の人格を疑った。

そんな自己満足の為に、推測でしかない話しをして他人を傷つけるなんて…。

やはり何度思い返してみても、莉奈はそれを理解する事は出来なかった。

ただあの時と違うのは"行動"という一つの提示で、莉奈は自身の正論を誠二に理解させようとしている。

それが仮にどういった形で誠二に伝わったとしても、莉奈は後悔などするつもりはなかった。

何故ならその行動も否定も…、先にあるのは別れなのだ…。

時間は戻せない。

だからこそ、莉奈は行動の先にある完全燃焼を望んでいた。

継続する孤独がやがてその身を包んでも、すでに過ぎた時間の中では行動すら無意味になる。

今日しかない…。
誠二が真理に全てを告げる、"今日"という日にしか。


三人は飲み物や軽食を買うと、コンビニを出てホテルへ向かった。

「私達が部屋入って別料金とか取られない?」
美紀が莉奈に聞いた。

「多分…、大丈夫だと思うけど。」
莉奈は仮に別料金が発生したとしても構わなかった。

それは金銭的な余裕もあるが、何より美紀から真理の連絡先を聞くという重要な事柄を先延ばしにしている以上、莉奈は美紀を帰す訳にはいかなかった。

ホテルに入ると莉奈は二人に先に18階に行くように促した。

これはホテル側への隠匿の為ではなく、もし別料金が発生した場合、お金に関して神経質な美紀に"心配いらない"と説明するのが億劫だったのだ。

学校近くでの会話で莉奈は美紀のそんな性格に気付き、逆算してこういった配慮をした。


「1803号室の高橋です。」
莉奈はフロントにいた従業員にそう言い、鍵を受け取った。

その時、莉奈は連れの存在を告げようか迷ったが、手続き等の時間が掛かるなら後々言われた方が今は都合が良いと考え、敢えてそれを言わずにフロントを後にした。

エレベーターで18階に着くと、美紀と田辺はエレベーターの横にあったベンチに腰掛けていた。

「なんか超静かだね?」
美紀は何故か小声で言った。

「そりゃホテルは防音ちゃんとしてるから静かだよ。」
田辺は言った。