僕らの背骨


初めて東京のラッシュアワーを体験した莉奈は、時折美紀に苦笑いを見せながらやり過ごしていた。

「山口ってどんな感じのとこなの?結構田舎?」
美紀は悪びれもせずはっきり聞いた。

「そうですね、田舎です…。たまに機関車とか走ってます。」
莉奈は何か山口県の特性はないかと考え、そんな事を口にした。

「(笑)!マジで!?嘘でしょ!!今時!?」
美紀は周囲の目は気にせず大笑いしながら言った。

「ほんとにほんとです!(笑)それ目当てに観光客とかも来るらしいですよ。」
莉奈は言った。

「マジで!ハンパねぇ山口!!(笑)マサキ君知ってた?」
美紀は勝手に盛り上がっていた自分を落ち着ける為か、田辺にそう話題を振った。

「いや、知らねぇ…。ていうかその機関車って普通に乗れんの?」
田辺は莉奈に聞いた。

「乗れます乗れます!でも普通の電車よりはちょっと料金が高いらしいですけど。」
莉奈は言った。

「そうなんだ…。何で?普通逆じゃない?だって電車より遅いでしょ?知らないけど…。」
美紀は深く考えもせず意見を言った。

「維持費とかじゃねぇ?だって昔の乗り物なんだから整備すんのとか手間掛かんだろ?」
田辺はもっともらしい事を言った。

「多分そうだと思います…。交通手段じゃなくて一つのアトラクションみたいな感じかも。」
莉奈はようやくタメ口も混ぜながら説明した。

「成る程ね…。客寄せみたいな感じか?観光客狙いとか?」
美紀は言った。

「そうそう!山口なんて何もないし…、機関車くらい走らせないと誰も来てくれない。(笑)」
莉奈は冗談にも似た皮肉を言いながら美紀と距離を縮めていった。

「(笑)マジウケる!!頑張れよ山口!!なんか行きたくなった!いつか山口に行く事があったら案内してね。」
美紀はそんな社交辞令で莉奈への親近性を表現した。

「山口なんて何にも楽しくないよ!ていうか莉奈昨日初めて東京に来て、山口がどれだけ田舎かって事に気付いた…。でも正直、莉奈は山口も好きやけん悪口は言わん…。」
莉奈はそんな本音を言った。