僕らの背骨


「…別に良いですけど。」
莉奈は多少展開に不安があったが、結果目的が果たせれば良いと思い、美紀の提案を受諾した。

「えっ?一人で泊まってんの?家族は?」
田辺が言った。

「一人です。親は仕事があって…。」
莉奈はその場その場で嘘を塗り重ねていた。

「へぇ〜…、凄いね、一人旅なんて…。あっ、でも高1か!なんか超幼く見えるから忘れる!(笑)」
美紀が言った。

「こっから近い?」
田辺は少し興味を見せながら言った。

「タクシーで3、40分です。電車はちょっと乗り換えが分からなくて…。」
莉奈は新幹線で東京に着いた時、品川駅の券売機の上に貼られた路線図を見て目が回ってしまった。

誠二の叔父からの旅費に余裕がある事から、莉奈はほとんどの移動にタクシーを利用していた。

「金持ちだね…。親戚の家があんのにホテルに泊まって、学生なのにタクシー移動…?」
田辺は刺のある言い方で莉奈にその疑問を主張した。

「確かに…。何?家金持ちなの?」
美紀は田辺に賛同して言った。

「…まぁ、そうかも…、しれないです…。」
莉奈は決して裕福とは言えない実家のアパートを思い出しながら、苦渋の発言をした。

「てかそんな事どうでも良いじゃん!?行こ行こ!電車でね!私タクシーに乗るお金なんてないし…。」
美紀は一応自身の金銭状況を打ち明けた。

「あっ、別にタクシー代莉奈が払いますけど…。」
莉奈はこのトライアングルのまま街を歩くのに煩わしさを感じ、そう提案した。

「駄目だよ!そういうの私嫌い…。電車の方が安いし正確なんだから、…ね?ていうか私達が勉強教えてもらうのに莉奈ちゃんにお金払わせるなんておかしくない!?そうでしょ?」
美紀は施しを受ける事も嫌いだという自身の性格も打ち明けた。

「…分かりました。」
莉奈はおよそ一時間のホテルまでのトライアングルを覚悟して言った。


清林学院から最寄り駅までは数分という近距離だったが、路線図を見る限りホテルの最寄り駅までの乗車時間は短くなさそうだった。

加えてもう帰宅ラッシュという事もあり、車内は混雑していた。