僕らの背骨


「いや、謙遜しなくて良いから!お願いお願い!!てか忙しい?」
美紀は言った。

「えっと…、じゃあ少しだけなら…。」
莉奈は一応真理の連絡先を聞くという"使命"を考え、美紀と親交を深める事の優位性に気付きそう言った。

「マジで!?ありがとう!…別に良いでしょ?」
美紀は田辺に甘えた視線を向けながら言った。

「…ていうか知らない人でしょ?」
田辺は当然の疑問を口にした。

「良いじゃん別に!変な人じゃないでしょ?」
今度は莉奈に視線を向けながら美紀は言った。

「"変な人"ではないと思います…。」
ある意味では変かも…、と思いながらも莉奈は否定した。

「でしょ?てか私今から頑張らないと志望校ヤバイし…。マサキ君もぶっちゃけそうでしょ?」
美紀は言った。

「んん…、まぁ、良いけどさ…。お前んちだし…。」
田辺はまだ納得のいかない表情でそう言った。

「そうだよ!別にうちだからマサキ君には迷惑掛けないよ。…ごめん名前なんだっけ?」
美紀はまた莉奈に聞いた。

「…莉奈です。」
この人馬鹿かも…、と莉奈は思ったが、もちろん口には出さなかった。

「ごめんごめん!莉奈ちゃん!
じゃあ行こっか?」
美紀は二人に視線を向け、促すように歩き出した。


何だか違和感のあるこのトライアングルを莉奈は困惑した表情で捉えていた。

美紀がベラベラと喋っている最中に田辺は度々莉奈に視線を送っていた。

しかし、それは異性に対する興味というより、煩わしい対象としてその表情に表されていた。

「なんかごめんなさい…。」
莉奈はそんな田辺からの視線に耐え切れず、呟くように言った。

「いやっ、別に…。」
田辺は慌てて視線を前に戻しながらそう言った。

「そうだ…、時間とか大丈夫?」
美紀は莉奈に言った。

「あっ…、大丈夫です。ホテルに泊まってるんで…。」
莉奈は言った直後にさっき親戚がどうたらという嘘をついた事を思い出し、これは辻妻が合うのだろうかと不安が過ぎった。

「えっ?マジで!?じゃあホテルの方が良くない!?うちだとママがウザイし…。駄目?」
美紀は興奮気味に言った。