僕らの背骨


「あれね、三ヶ月くらい前かな…。まぁ中学生だからギャラとかは出ないけど、でもRUIDOでのカットとかパーマは全部タダにしてもらってるよ。」
美紀はそう自慢して言った。

「あぁ…、良いですね…。」
莉奈はそんな相槌を打ちながら次にどう会話を広げようかを考えていた。

「ていうかこの辺の人?あんま見ない制服だけど…。」
美紀は言った。

「いやっ、あの…、山口県から…、親戚が近くに住んでて、ちょっと遊びに…。」
莉奈は適当に言った。

「そうなんだ!てか山口県ってどの辺?私地理とか駄目だからさ。(笑)」
美紀は言った。

「えっと、中国地方です。広島のちょっと先にあります…。」
莉奈は山口が東京の人間にとっていかに田舎かを思い知った。

「ふ〜ん…、いくつ?」
美紀は山口県には興味を示さず、見た目には年下に見える莉奈にそう聞いた。

「15です。一応…、高1です。」
莉奈は言った。

「えぇ〜!!年上じゃん!マジ見えないんだけど!!(笑)ていうか中1くらいかと思った…。なんかごめんね。」
美紀は何故か田辺の腕を掴みながらそんな事を言った。

「いえ…、大丈夫です。」
莉奈は結局何も思い浮かばず、美紀に相槌を打っているだけだった。

「あっ!ていうかさ…、これからうち来ない?」
美紀は莉奈の相槌から間髪入れずに言った。

「えっ!?」
莉奈は耳を疑った。

「これからマサキ君と二人で中間試験の勉強しようと思ってたんだけどさ…、ちょっと待って名前聞いたっけ?」
美紀は言った。

「あっ、莉奈です。」
莉奈は慌てながらも言った。

「莉奈?じゃあ莉奈"ちゃん"ね、で莉奈ちゃん高校生だからさ、よかったら勉強教えてもらえないかな…って。普通こんなの有り得ないけどさ、なんかの運命かもしれないじゃん!」
美紀は天真爛漫な自身の性格を大いに発揮して言った。

「でも…、莉奈教える程は…。」
莉奈は山口県では有数の進学校に通ってはいたが、ギリギリの成績で現状を維持していた。

それを自身で認識していただけに、敢えてハードルを下げる為に謙遜をした。

どうか清林学院がレベルの低い中学でありますように…、と莉奈は願っていた。