僕らの背骨


「…えっ?」
清水美紀は背後で急に立ち止まった莉奈に驚きながら、その意図を聞こうと黙って視線を向けていた。

「あ、あの…、清水さんですよね…。」
莉奈は言った。

「…あ、はい。」
美紀は訝しげな表情を見せながら答えた。

「………。」
莉奈は黙ってしまった。

どう聞くべきか…、素直に言って普通教えるものなのだろうか…。

もし自分だったら…、莉奈は瞬時にそれを考えた。

見知らぬ女が急に話し掛けて来て、友達の連絡先を教えろと言う…。

教える訳がない…。

莉奈は勝手に落胆しながら下を向いた。

「ごめんなさい…、なんでもないです…。」
莉奈はそう小さく呟き、二人に背を向けて歩き出した。

「…なに?マサキ君の知り合い?」
美紀は言った。

「いや知らねぇ…、ていうかお前の事見てなかった?」
田辺は言った。

背中に突き刺さる自分への不審感を莉奈は肌身に感じていた。

「莉奈ってほんと馬鹿…。何も考えとらんかった…。」
莉奈はトボトボ歩きながらそんな事を呟いていた。

「ねえ!もしかして"あれ"見たの?」
美紀が背後から声を掛けて来た。

「…えっ?」
莉奈は呆然として言った。

「ほらっ、"RUIDO"の私の写真見たの?」
美紀は少し照れながらそう言った。

「…ルイード?」
莉奈は聞いた。

「あっ、違った?私最近、RUIDOっていう美容院のカットモデルやっててさ…、その写真見たのかな…、って。」
美紀は視線を田辺の方にも向けながら自慢げにそう話した。

「そうです!!!あの…、RUIDOで清水さんの写真見て…、凄い可愛いなって思って…、お店の人に聞いたら清林学院の生徒さんだって聞いて…、今日たまたま近くに来たんで…。」
莉奈はとっさに嘘をついた。

「そうなんだ!たまにそういう人いるんだけどさ!結構嬉しい…。」
美紀はまんざらでもない表情を見せながらそう言った。

「あ、あの写真っていつ撮ったんですか?」
莉奈は取り敢えず合わせられる所までは合わせようと考え、そう言った。