僕らの背骨


莉奈は机に置かれた設備表に目を通した。

幸い莉奈の部屋の階に自販機があり、ロビーには売店もあると書かれていた。

しかし、ふと下を見ると冷蔵庫があった。

「…何か入っとるんかな。」
莉奈はそう呟きながら冷蔵庫を開けた。

その小さな冷蔵庫の中には、ミネラルウォーター、スポーツ飲料、コーヒー、お茶などがギッシリ入っていた。

「おぁ!これ全部タダなん!?…な訳ないか、有料かな…。」
莉奈は物欲しそうな顔で冷蔵庫を眺めながら悩んでいた。

しかしながら喉の渇きには耐えられず、莉奈はお茶を手に取り、何故かこっそりそれを飲んだ。

一口飲むと莉奈のその不安は大分薄れ、多分飲み物の代金は室料に込まれているだろうという冷静な考えで自身を納得させた。

そうして喉の渇きが癒されると、莉奈は迫り来る空腹感に気付いた。

人間として当然の生理現象だが、莉奈はそれを煩わしさから気のせいだと思い込もうとして、一先ず服を脱いでシャワー室に入った。

ペタペタ音を立てながらバスタブに入りシャワーを出そうとすると、カランから勢い良く水が流れた。

「…何これ、どうやってやるん…?」
莉奈はシャワーとカランの切り替えに苦戦しながらも、何とかシャワーから水を出した。

すぐに水はお湯に変わり、莉奈は指先で温度を確認しながら調節をした。

指先で程よい温度に調節すると、莉奈はゆっくりシャワーを身体に向けた。

「あっつい!!!」
誰でも一度は経験するホテルでの失敗である…。

慣れない環境だと、どうやら指先の温度感覚が多少誤作動を起こすのだろうか…。

なんとか足先で入念に温度の確認をすると、莉奈はようやく安心した様子で昨日からの汗を流した。

頭皮から足先までお湯が伝うと、ふと莉奈はドライヤーの必要性に気付いた。

「…どうしよ。」
元々くせっ毛である莉奈の髪質は風呂上がりにドライヤー無しなどという状況は自殺行為にも等しかった。

しかし莉奈は洗面所に置かれた簡易的な歯ブラシやヘアブラシ等の横に小さなドライヤーがある事に気付き、ホッとした様子でシャンプーに手を延ばした。

ホテルでのシャワーが初めてという事もあり、莉奈は一つ一つの作業に手間取りながら、ただのシャワーに励んでいた。