ホテルの18階から見る都会の夜景は、静かに莉奈の胸を締め付けた。
こんなにも綺麗で…、
光り輝いているのに…。
寄り添う擁護の先はただ莉奈を拒絶し、また別の行く先に全てを置いている。
「莉奈は何も悪いことしとらんのに…。なんで誠二は莉奈を一人ぼっちにするん…。」
莉奈の声が悲しく部屋に響いた。
密閉された室内は息苦しく、莉奈のそんな小声を重く冷たく跳ね返していた。
その部屋はホテルの豪華な外観とは違い、意外にも質素で、必要最低限とも言える設備しかなかった。
シングルベッドにユニットバス、机に椅子と、全てが狭い室内に押し込まれているという印象だった。
しかしテレビだけは最新の大きな液晶テレビで、それが唯一の贅沢な設備とも言えた。
莉奈は無音の状態に寂しさを感じ、ふとテレビのスイッチを押した。
多少画質の粗いその映像に乗せて、騒がしいバラエティー番組の音声が部屋に響き渡った。
莉奈はそのままベッドに座り、しばらくその番組を見ていた。
次第に重くなった目を何とか凝らしながら、莉奈はテレビを見続けた。
寝ようとしない理由は莉奈にも分からなかった。
ただ莉奈は、今だけは何もしたくなかったのだ…。
寝る事も、トイレに行く事も、シャワーを浴びる事も、何一つしたくなかった…。
莉奈はこうして内容の無いテレビを眺めながら、じっと全てを忘れようとしていた…。
{11月1日 AM 4:19}
…気付くと莉奈はベッドの隅で寝込んでいて、はっとベッド脇の時計に目をやると、時間はもう朝に近い深夜だった。
しかし窓に写る夜景はまだ光り輝いていて、空をわずかに染めた青い情景が、僅かな体調の回復を莉奈に知らせているようだった。
莉奈は喉の渇きを感じたが、それと同時にトイレにも行きたくなった。
部屋に入って初めて行くトイレはやはり狭く、ユニットバスならではの利便性の悪さを感じさせた。
莉奈は用を足すと、慣れない洗面所に苦戦しながらふと鏡を見た。
「莉奈昨日お風呂入ってない…。」
莉奈はそう言いながら、シャワーを眺めた。
「今入ろっかな…。」
莉奈は煩わしそうに呟きながら、ふと飲み物を買って来てからにしようと思いついた。
