僕らの背骨


「どういたしまして!!じゃあ明後日待ってるからね。」
美伽は最後まで優しい笑顔のまま言った。

「はい、さようなら…。」
莉奈は軽く手を振りながら店を出て行った。

「気をつけてね!おやすみ〜!」
美伽は店先まで出て莉奈を見送りながらそう言った。


夜が更けても、都会の人波は途切れる事はなかった。

通り過ぎるスーツ姿の男性達がふと怪訝な表情で莉奈を見る。

少女である莉奈を心配しての視線か…、もしくはその小さな器で何か文句でも言いたいのか…。

莉奈は横目でそんな男性達を敬遠していたが、やはり寂しさは募るばかりだった。

仮に美伽を自分の友達として認識出来ても、結局はその場限りの関係である事は否定出来ない。

今こうして一人でいる事が全ての事実であり、変えられない現実なのだ。


莉奈はまだ宿泊先にチェックインもしていなかった事に気付き、取り敢えず予約していたホテルへ向かう事にした。

店からそう遠くないそのホテルは莉奈の想像以上に立派なホテルで、ロビーの人の多さや格式の高さが伺えるフロントを見ても、普通なら莉奈が泊まれるようなレベルではなかった。

莉奈はオロオロしながらもフロントからの訝しげな視線に耐え切れず、思い切って歩を進めた。

「あ、あの…、予約してあると思うんですけど…。」
莉奈は言った。

「ご予約のお名前は?」
落ち着いた声のトーンでホテル従業員は聞いた。

「あっ、高橋です。…高橋莉奈です。」
莉奈は予約の名前が誠二の叔父名義かもしれないと思いながらも、一応自分の名前を言った。

「…お待ちしておりました、高橋様。ではこちらにご記入をお願いします。」
従業員は莉奈に用紙を提示しながら言った。

「…はい。」
莉奈は渡された用紙に氏名住所等を丁寧に書き、用紙を従業員に返した。

「お部屋は18階3号室となります。あちらのエレベーターをご利用下さい。…おやすみなさいませ。」
従業員は莉奈に鍵を渡し、丁寧にお辞儀をして言った。

「あっ…、はい…。」
あまりの礼儀正しさに莉奈は圧倒されたが、なるべく平静を保ちながらフロントを後にした。

莉奈はエレベーターに乗ると、物珍しそうに部屋の鍵を眺めた。