僕らの背骨


そういった思春期にしか体現出来ない微妙な感覚が、今もこうして真理を優しく包み、その締め付けられた胸の痛みもまた、真理を震わせていた…。

それは失う恐怖なのか…、または期待による高揚なのか…。

人間同士の"均衡"とは、個別の対象にもそんなバランスを僅かに存在させ、彼らはその精神の揺れ動きに動揺してしまう。

"15歳"とはまさにその均衡が最も繊細と言えて、動揺の先に自傷行為を選ぶ対象も少なくない。

逃避ではなく選択として、彼らは悩み、傷付き、その行為に身を投じる。

真理が選択したその"理解"が彼らを救う唯一の方法であり、最も思春期には難しい選択なのだ…。

理想には程遠い自分…、
思い通りにならない環境…、
募る退屈との葛藤…。

全ては自身の"理解"が不可欠であり、それが個々が幸福感を得る為に必要な"意識基準"である。

その時、誠二が立ち上がった。

誠二は数枚に書き記した"告白文"をメモ帳から破り取ると、真理にそれを手渡した。

その瞬間誠二は急に手を出し、真理がメモを読むのを止めると、またメモ書き、それを読ませた。

−声に出して読んで欲しい。−

「…えっ?…どうして?」
真理は困惑しながら聞いた。

誠二はメモを書いた。

−頼む。−

「…うん。」
真理にはその理由を理解出来なかったが、何か思う所があるのだろうと特に気にも留めず、メモを声に出して読み始めた…。


「"今日一日で、俺は色んな事を考えた。すべき事、得られる事…。結局全ては自分の為で、君を傷つけるだけの行為だ。納得を知らずして行動にしようとしたのは、ただ孤独に耐えられなかったからだ。唯一共有出来る存在の君に…、俺は期待してしまった…。それが身勝手な事なのは分かっていた。でも、一人では生きられない…。俺はもう正常な思考すら失った人間なんだ…。背負った生い立ちや意識は次第に変色して、共有と犠牲を履き違えた…。共有というこの愚かな考えも、今もどこかで正論だと思ってしまっている。つまり…、もう変えられないんだ…。"」

ページをめくる度、真理は誠二のその痛みを我が身にも同調させていた…。

真理は一度誠二に情のこもった瞳を向けた。

すると誠二は軽く頷き、真理に続きを読ませた。