「はしゃぎ過ぎだから!!(笑)ていうか知らないし!あっ、あの海外ドラマ?」
真理は今だ紗耶への罪悪感は消えずにいたが、紗耶の屈託のない笑顔を見て、その自身の罪を忘れようとした。
「そうそう!!超面白いよ!!アタシ最近"マリッサ"超意識しまくりだもん!!」
紗耶は確定した真理とのこの一夜を心底喜び、この機会を決して無駄にするものかと必死になっていた。
「へぇ〜…、ていうか"マリッサ"が分かんないし…。まさか今日それ全部私に見せるつもり!?」
真理は冗談混じりに聞いた。
「さすがに全部は無理だから…、シーズン1だけ見ようよ。1見たら絶対真理もハマるから!!」
紗耶がそんな事を力説していると、紗耶の母が次の料理を持って入って来た。
「お待たせ。このソテーは本当に美味しいから真理ちゃん期待しちゃって良いわよ。」
紗耶の母は皿をそれぞれの前に置きながら言った。
「うわぁ、超美味しそう…。」
真理はその魚のソテーを凝視しながら言った。
「ていうかママ、真理今日うちに泊まって良いでしょ?」
紗耶は母の拒絶を予め予防する為か、その"決定事項"を当たり前のようなニュアンスで言った。
「えっ、大丈夫なの真理ちゃん?お家の人に連絡した?」
紗耶の母は自身の判断よりも先に、大人としての体裁をまず優先して言った。
「あ、別に大丈夫です…。後でちゃんと電話すれば…。」
真理は言った。
「そう?私一応真理ちゃんのお母さんに連絡しようか?うちに泊めますんでって。じゃないと真理ちゃんのお母さん心配するでしょう?」
紗耶の母はもっともな意見を言った。
「…あ、えっと…、うちのママは…、あの、"夜"仕事しているので、今は電話に出られない…、と思います…。」
真理は敢えて"夜の仕事"という世間的には軽はずみに触れにくい虚偽の建前を提示して、紗耶の母からの提案をもっともらしい理由で拒んだ。
「あらっ、そうなの…。あの真理ちゃん…、失礼かもしれないけど、お父さんは何しているの?」
紗耶の母はなるべく真理を傷付けないよう、優しい口調で聞いた。
「…………。」
真理は黙った。
