少女は美伽に促されるまま正樹の真向かいの席に座った。
「ん?どうしたの?」
美伽は立ち上がったままの正樹を見てそう言った。
「いやっ…。」
正樹は少女を見据えながら口ごもった。
少女はその正樹の視線に気付くと、驚いた様子でその視線に合わせた。
「えっ?知り合い?」
美伽は二人の視線の交わりに気付き、正樹にそう聞いた。
「いやっ、まぁ…。」
正樹は少し戸惑いながらもその事実を認めた。
「"莉奈"ちゃん…、だったよね?この子私の弟なんだけどさ…、正樹と知り合いだったんだ?」
美伽は莉奈に言った。
「あ、はい…。ていうかさっきまで一緒に…。」
莉奈は口ごもりながらも正樹との共有時間を示唆した。
「えっ!?さっきまで一緒にいたの?」
美伽はどちらにも視線を送りながらそう聞いた。
「お、おぅ…。ていうか何でここにいんの?」
正樹は莉奈に訝しげな目線を送りながらそう聞いた。
「あの…、昨日もここで食事したから…、別にあなたを尾けてきた訳じゃ…。」
莉奈はそう見られてるのではと予想して、予め否定をした。
「じゃあせっかくだから一緒に座りなよ。…なんか問題あるならそのままでも良いけど…。」
美伽は気を遣いながらも世話好きな性格が働いてそんな提案をした。
「…俺は別に良いけど。」
正樹は言った。
「…あっ、…じゃあ。」
莉奈は多少の煩わしさを感じながらも、正樹のテーブル席に移動した。
「てっきり明日来ると思ったよ?今日でも全然嬉しいけどさ!ていうか正樹…、さっき言ってたのがこの娘?」
美伽は二人の空気を読みつつ、慎重にその質問をした。
「はぁ?ちげぇよ!…今日初めて会ったんだよ。」
正樹は一瞬慌てながらも、冷静にその事実を言った。
「…そうなんだ?」
美伽は莉奈の様子を伺いながら正樹の主張が事実かどうかを確認した。
「はい…。あの…、ちょっと説明が難しいんですけど…、今日初めて会ったんです。」
莉奈は隠す必要性はないと考え、正直に言った。
「ふ〜ん…。あっ!莉奈ちゃんお腹空いてるよね?待ってて!約束通り私の特製料理作ってあげるから!」
美伽は莉奈の返事を待たずにそのまま奥のキッチンへと入って行った。
