僕らの背骨


「性格に問題って…、別に紗耶は性格普通じゃん…。」
真理は本音でもあり、また嘘でもある主張をした。

「…そう…だよね?」
紗耶はその時、真理がそれを本音で言ったのかを確認するように、悲しげな視線を合わせながら言った。

「うん、普通だよ。」
真理はそんな紗耶の不安に気付き、真剣な表情で答えた。

しかし、それを聞いた紗耶の嬉しそうな顔を見ると、真理の良心が痛んだ…。

その理由も、真理には理屈では説明出来ないだろう。

真理は決して嘘をついた訳ではない。

ただ、心の奥底にある紗耶の"障害"の存在を、どうしても否定する事が出来なかったのだ。


「サラダ食べたら?」
紗耶は既に食卓に並んでいた前菜を促しながら言った。

「あっ、うん。あれっ?…お母さんは?」
真理はテーブルにサラダが三人分用意されていた事から、紗耶の母抜きで食べ始める事に遠慮して言った。

「すぐ来るよ。ていうか今日、多分フルコース出て来るよ…。」
紗耶は申し訳なさそうに言った。

「フ、フルコース!?家で!?…もしかして毎晩こんな感じなの?」
真理は心を踊らせながらも興味津々で聞いた。

「なわけないじゃん!!(笑)友達来た時だけ!ママ昔っから料理が趣味だからさ…、でも普段は簡単なやつだよ。明太子パスタとか…、好きだから別に良いんだけどさ。」
紗耶は言った。

「へぇー良いじゃん!!ていうか私も明太子スパゲティー超好き!!」
真理は嬉しそうな顔で言った。

「マジで!?ていうかやばくない明太子パスタ!!」
パスタとスパゲティーの呼び方の違いはそっちのけで紗耶は真理の賛同を喜んでいた。

「あらっ?サラダ食べないの?」
紗耶の母が外国産のグレープジュースの瓶を三つ持って戻って来た。

「ママを待ってたの!!ていうかお茶で良いよ。ペットボトルの。」
紗耶が何かと母を非難しながら言った。

「こういうのは雰囲気が大事なんだから…、ペットボトルなんてダメよ!」
既にテーブルにセッティングされていたワイングラスにジュースを注ぎながら紗耶の母は言った。