彼女達にしか分からないその"人となり"、"仕草"、"話し方"があり、もし何かしらの"障害"が彼女達特有の感覚で見受けられれば、その対象は友達としては除外され、学校でしか話さない関係に留まるのだ。
まさしく紗耶はその対象であり、日々理由のない"孤独"と闘っていた。
そんな紗耶が真理を自宅に連れて来たのは、その闘いの終焉を望むからであり、それによって母のお節介もある意味では紗耶を助ける事になっているのだ。
勿論、紗耶の母が節度を超えた娘との馴れ合いを真理に強要したりすれば、それは確実にさらなる"障害"の対象になり、紗耶の孤独を助長する事にもなる。
15年という歳月を紗耶に費やした母親が、その紗耶の孤独に気付かない訳もなく、同じ女である娘の"障害"を誰よりも深く認知していた。
紗耶の母が真理に優しい笑顔を見せていたのは、ただ建前の愛想だった訳ではなく、どうか娘を一人ぼっちにしないで欲しいという懇願の意味もあったのだ。
「まだひ・み・つ…。
真理ちゃんも食べていってね。」
紗耶の母は子供っぽい笑顔をみせながら奥のキッチンに入って行った。
「あっ、ありがとうございます。」
真理は言った。
「…馬鹿でしょ?うちのママ。」
紗耶は呆れた顔をしながら言った。
「えっ、可愛いじゃん。ちょっと羨ましい…。」
真理はそれを本音で言った。
「羨ましくないから!!たまにマジでウザイ時あるし…。」
紗耶はテーブルの端っこに座り、真理に自身の隣に座るよう手で促しながら言った。
「どんな時?」
真理は聞いた。
「この前一緒にネイル行った時とか最悪だった…。店の人にアタシの事とか相談してて、超恥ずかしかった…。アタシの真横でだよ!?マジ有り得ないんだけど!」
紗耶は憤慨した様子で言っていた。
「確かにそれはウザイけど…、その内容にもよるんじゃない?」
真理は言った。
「いやなんか、娘は性格に問題あるから心配…、とか、友達ちゃんといるのかな…、とか、娘に彼氏が出来たら絶対連れて来させる…、とか、ていうか内容全部ウザイし!!進学とかの事だったら別に良いけど、他の事は余計なお世話だよ…。」
紗耶は何故だか洗いざらい自分の事を真理に教えるかのように話していた。
