「全然良いじゃん!兄弟なら次会っても安心じゃない?真理になんか変な事したりしないでしょ?」
美紀は自分でもよく分からない説得で真理を落ち着かせようと、そう言った。
「そうなの、かな…。安心かな…。いやっ違うよ!!だってその人…。」
真理は口から出かかった誠二の"主張"を飲み込んだ。
"母が父を殺した"…。
誠二は真理にそう伝えようとしているのだ。
一体なんの為に…。
父が言う真実はその主張とは異なり、全ては事故なのだと手紙に綴っていた。
しかし、誠二なりの解釈でその事実は恐ろしい事件という形に歪んでしまっている。
真理は考えたくなかったが、仮に誠二の解釈が事実だとしても、真理にその真相を話す必要性はどこにあるのか…。
それは誰も得をしない人を傷付けるだけの自己満足に過ぎない。
その瞬間、真理の中で誠二への恋心は消え、今では哀れみに装いを変えた感情が誠二へ向けられていた…。
「ちょっと"イタい"あの人…。自己中だよ自己中!!なんで意味もなく私が傷つけられなきゃいけないの…。」
真理は主語を省いてそう美紀に主張した。
「何言ってるか全然分かんない…。…嫌がらせ?」
美紀は呆れた様子で言った。
「なんでもない…。ていうかなんかムカついてきた…。…うわっ、超ムカつく!!」
次第に募る誠二への不信感と憤りで真理は平静を失った。
「ていうか何なの!?いい加減教えてよ!」
美紀は節度を超えた真理の勝手な感情の起伏に嫌気がさし、はっきりと要点を聞いた。
「なんか…、その人、自分の勝手な考えを私に言おうとしてんの…。事実じゃない事なのに…。すごくひどい内容なんだよ…。」
真理は一転して悲しげな表情を見せながら言った。
「…"ひどい"内容って?」
美紀は真理を理解してあげたい気持ちで、その先を聞いた。
「…ママが、…私のママが、"パパを殺した"って…。」
真理は言った。
「…だって生きてるんでしょ?」
美紀は話しを統括する事実を言った。
