困ったな。

捨ててしまうのは

簡単なのだ。

けれど、ここでの

数少ない、知り合いのうちの一人を

切り捨てるみたいで

嫌だった。


と、ハントがハッと

諦めるように吐息を吐いた。

呆れた、と言った方がいいのか。


「わかった。じゃあ、不用意に

覗かれないようにしといてやる。」


ホールの隅から、

宝石をちりばめたみたいな、

綺麗で気味悪い女郎蜘蛛を

捕まえてくると、

窓のカードに、ぐるぐると、

吐き出させた糸を

巻きつけた。