少し先には、黒い森が

広がっていた。


「ルカ?無事だったか。」


振り返ると、ぬれ鼠な

アキヒトがいた。

すっぽりと体を覆っている

大きな布が、

ぐっしょりと濡れて

非常に重そうで

ルカは思わず

笑ってしまった。

アキヒトは、くっきりと

表情に表わしてムッとして、

頭の布を落した。

黒く長い髪が

現れる。

その隙間から、

耳から垂れた、月型の

ピアスがのぞいている。