本屋を出ていこうとする後ろ姿に、

誰かが、声をかける。


「もしかして、七瀬リオさんですか?」


気づかずに、出ていくあたし。

街の雑踏の中、たくさんの人の波にまぎれたあたしは、もう見つけることはできない。