人気が上がっていく中で、あたしは、「七瀬リオ」って、誰なんだろう?と、思っていた。

売れるために、自分の中にアイドルとしての「七瀬リオ」という虚像を作り上げた結果、あたし自身が七瀬リオがいったい誰なのか、わからなくなっていた。

カメラを向けられると、自然と笑顔を作っている自分がいた。

あたしではないあたしの声が、あたしではないあたしの話し方で、カメラの前でしゃべっていた。

その人は、誰なの?

と、画面に自分の姿を見つける度に思った。