駅から大学へ向かう道で、真帆に会った。

腕の包帯は、もう、小さな絆創膏になっている。


真帆は、体にフィットする白いTシャツに、ジーンズを合わせている。

足元は、ヒールのついたシンプルなトングサンダルだ。

真帆の合コンスタイルにしてはずいぶん気が抜けているように感じた。



「おはよー。ミチコ」

眠そうに真帆が言う。


「おはよう」


「ミチコ、気合い入ってるじゃん」


「そうかな」


「そのブラウス、超可愛い」


「ありがと」


私は、勝負服の黄色いシフォン素材のブラウスに、ショートパンツという服装だった。


足元のウェッジソールのサンダルは、最近買ったお気に入りだ。

このサンダルなら、ヒールが高くても山に登れる。



「頑張ってね」

真帆が言う。


「そういえば、真帆、昼ご飯一緒に食べない?試験の後」


「あ、ごめーん。用事あるから、すぐに行かないといけないの」


「どこ行くの?」


「病院」


「吉川君の?」


「うん。洗濯とかしてあげないといけないんだ」


「献身的!」


「家族の人がなかなか来られないみたいだから、私が行かないと」

真帆はそう言ってほほえんだ。