「シャコ貝に靴がはまったんじゃ」


「シャコ貝!?」


「お気に入りのシャコ貝を庭に飾っているんじゃ」


「そうなんですか……」


「そうじゃ。焦げ臭いから外に出てみたら、庭に飾っておいたシャコ貝に足がはまって抜けなくなっている若者がいたんじゃ」


「えぇ」


「ワシの姿を見ると、慌てて、シャコの中に靴を残したまま逃げていったんじゃ」


「それが放火魔だったんですね」


「そうじゃ。本当、散々じゃ。鳥かごが燃えて、ぴよちゃんも逃げてしもうた」

悲しそうに婆が言った。




「ああ、」

婆は続けた。



「もし道で黒い小鳥を見つけたら、捕まえておいてもらえんか」



「わかりました」


すっかり婆が可哀相になって、なんでもしてあげたい気持ちになった。