「なんだかひどいな」

沼袋部長が呟いた。



「ヨシオ君……」

真帆が涙ぐんでいる。



「ま……ほ……?」

吉川ヨシオは、消えそうな声で、そう言った。



「ヨシオ君!」

真帆は、ヨシオに駆け寄った。



「あばらにひびが入ってるってママが言ってました」

得意げに平田が言う。



「みんな、来てくれて……ありが……ゴホゴホ」

吉川ヨシオは、いかにも苦しそうだ。



「痛み止めの薬を飲んでいるから、かなり眠いらしいってママが言ってました」

また、得意げに平田が言った。


「ヨシオ君、誰にやられたの??」

真帆が言うと、吉川ヨシオは、



「覚えていない」


と答えた。