「最近、大学のまわり、危ないじゃないですか」


平田が席に着いたのを見計らって、目黒さんが言った。



「そういえば、私も置き引きにあったよ」


「僕のノートをね!」

すかさず平田が口を挟む。



「私もこの間、買い物したスーパーの袋を丸ごと盗まれて、胸まで触られたんです」



目黒さんがそう言うと、平田があきらかにいやらしそうな、それでいて嬉しそうな顔をして、目黒さんの胸元をじろじろと見た。



確かに、触りたくなるような立派な胸だ。



「のりと干し椎茸とコーンの缶詰、それにコアラのマーチ……全部盗まれてしまったんです。ショックでした」


「それは大変だったね」


「胸かあ……」

平田はまだ胸のことに夢中だ。



相変わらず気持ちの悪い男だ。





吉川ヨシオが一般病棟に移ったら、またお見舞いに来ようと約束して、私はミスドを後にした。