電話を切って、私はミスドに向かった。



店内には、沼袋部長と真帆と目黒さんもいた。


真帆は、腕に包帯を巻いている。



私は、ポンデ黒糖とコーヒーを買って、席に着いた。




「真帆、大丈夫?」

私が話し掛けると、真帆はつらそうな顔をして、頷いた。



「真帆君……。辛かったら帰っても良いんだよ」

沼袋部長が言う。



「……ごめん。ミチコ。私、帰る……」


真帆はそう言うと、席を立ってカバンを持った。



「送ってくよ」

沼袋が、眼鏡を光らせて言った。



「ありがと……」


「じゃ、申し訳ないけど、僕も失礼するよ」


そう言って、真帆と二人で店を出て行ってしまった。




きれいめの二人が出て行ってしまって、すっかりしょぼい集団になってしまった。




太めである平田と目黒さんが、皿いっぱいにドーナツを乗せているのが、また、哀愁を誘った。



二人とも飲み物は炭酸飲料だ。




「真帆さん、襲われたのがショックだったみたいです」

フレンチクルーラーを頬張りながら、目黒さんが言った。


「襲われたって、どういうことなの?詳しく聞かせて」


私が言うと、目黒さんは、少し得意そうに話し始めた。


「昨日の夜、大学からの帰り道で、真帆さんは通り魔に襲われたんです」


「そうなんだ」


「通り魔は真帆さんの体を取り押さえて、刃物で、手首を切り付けたそうです」


「ギャー」


と、平田が言った。

口から、ポンデきなこの欠片が三つ飛び出たねで、私は顔をそむけた。




「お腹も蹴られたそうです。お腹はなんともなかったのですが、腕は2針縫ったらしいです」


「ギャー」

平田がまた叫ぶ。



いつの巻にか、鼻にチョコレートが付いている。