「眠ぃょぉ」


「床で寝ると風邪引くよ」


「眠くて動けない」


「仕方ないなあ……」



ハジメは私を抱き抱えるようにして、ベッドに乗せた。



「ありがと」


「ミチコはベッドで寝てね」


「ハジメは?」


「俺はリビングのソファで寝る」


「え。淋しいよ」


「酔ってる?」


「うん」


「一緒には寝られないよ」


「なんで?」


「わかるだろ」


「わかんない」


「貞操観念を大切にしないと……それが掟だ」


「掟って……?」




「ミチコ……俺……」




俺、山賊なんだ。





ハジメは、確かにそう言った。



「え?」



「……おやすみ」


ハジメはそう言うと、逃げるように部屋を出て行った。