「おかえりなさーい」


奥から声が聞こえた。

女の人の声。




「誰!?」


「おかん」


「え!?」



小屋の奥から出てきたのは、小柄な女の人だった。


30代後半くらいだろうか。


私のお母さんより、大分若く感じた。


黒いTシャツに黒いジーンズに、黒いエプロン。



美人だ。




「あら!ハジメちゃんが女の子を連れてくるなんて!」


うれしそうに彼女は言った。


「は、はじめまして。青木ミチコです」


「ハジメの母です」


「急にお邪魔してすいません」


「あら、礼儀正しいのね」


「ありがとうございます」


「ミチコちゃんはどこの山から来たの?」


「山?」


「おかん、彼女は違うんだ」


「あらやだ、ごめんなさい」


「そんなことより、おかん、ミチコにもごはん出せる?」


「大丈夫よ。まかせて」


「あの、彼女を泊まらせても良いかな?」


「もちろんよ」






急な展開だ。