一ヵ月後。






山には元気に走り回る吉川ヨシオとトムオの姿があった。



若手の山賊の育成というのも、山賊の掟の一つとして推奨されている。


「よし!今日の練習終わり!じゃあ、俺が夕食用意してくるからな」


ハジメはそう言って、山を下った。



「よっちゃん、トムオ、調子はどう?」

私は言った。


「ばっちりさ。トムオも生き生きとして、まるで別人みたいだ」

吉川ヨシオが答える。


「よかった」


「立派な山賊になれるように、息子と頑張るよ」

「山賊っていうのが立派かどうかは別として、とりあえず応援するよ」


「ありがとな」


吉川ヨシオは、真帆に手紙を書いたらしい。

自分は無事だということと、都合によりこのまま大学を去るということを書いて送ったのだそうだ。

真帆は、最初、落ち込んで泣いていたが、もう立ち直ったらしい。

なかなかタフだ。