「ミチコ」

突然声をかけられた。


「わっ」


「驚かせたかな。ごめん」

ハジメだった。


「何でこんなところに?」


「平田からメールがきたんだ」


「何て?」


「オード卵が逃げ出して、ミチコが追ってるって」


「心配して来てくれたの?」


「まあな」


「ありがとう……でも、見失っちゃったの」


「そうか……。あれ。ミチコ、泣いてる??」


ハジメはそう言って、私の頬に触れた。


「いなくなった吉川ヨシオのこと考えてたら、泣けてきて……」


「友達だったもんな」


「うん」


ハジメは、私をぎゅっと抱き締めた。


久しぶりの感覚だ。


最近、ばたばたしていて、ハジメと二人で過ごす時間が全く無かった。


「ありがとう」

私はハジメに言った。


ハジメは、ゆっくりと唇を重ねた。


その時だった。


「ヒューヒュー!」


平田だ。


チアガールの服装をした平田が、いやらしい顔で、こちらを見ている。


「ちょっと!何やってんのよ!」


「へへへ。これですか?オード卵のクローゼットに入ってたんですよ」


ミニスカートでぴょこぴょこ飛び跳ねながら平田は言った。