「ジントニック!」


「ソルティードッグ!」


「モスコミュール!」


「カシスウーロン!」


「俺はとりあえずビール」


「じゃ、私も」


「梅酒ロックで!」




いつもの居酒屋。


1杯目から、めいめい好きなものを注文し始めてしまうのが、ハム研流だ。


真帆は、ピンクのキャミソールを着て、ちゃっかり吉川ヨシオの隣の席に座っている。


デブの平田は、新入部員の女の子の隣で、フガフガとコーンを食べている。



「じゃ、そろそろ会議を始めますか」

ハンサム眼鏡の部長が、りりしい声で言った。


彼は、沼袋ダイスケ。

3年の先輩で、吉川ヨシオと人気を二分する男前だ。



「今日の議題は、リス研対策について!」


リス研とは、リストカット研究会の略で、なぜかハム研を目の敵にしている。


最近、ハム研のメンバーが、リス研に襲われるという事件が多発しているのだ。


もっとも、襲うと言っても、悪戯レベルで、突然3人がかりで押さえつけられて顔に髭を描かれるとか、スカートめくりをされるとか、その程度だ。