「しかし、あの落し穴で、怪我したんですか?」

平田が言う。


「そうだ」


「僕、落ちたけど、ぴんぴんしてますよ」

平田はそう言って、体をぴんぴんさせた。


「穴自体は浅かったんだ。中にこれが入ってやがった」

ウルフはテーブルの上を指差した。


テーブルには、さぼてんと鉛筆削りが置いてある。


「腰を鉛筆削りで強打、太ももと二の腕にサボテンが刺さった……」


それはかなり痛そうだ。


「ひどすぎます!」

目黒さんが言った。


「ひどいよな……。とんだ災難だぜ」


「これも、ミミ助の仕業……なんですよね」


「ミミがそんなことするはずないぜ」


「ミミ助は、恐ろしい女です。全部ミミ助の仕業なんです」


「何?いつの間にそんな話になってんの!?」


目黒さんは、ウルフに、身振り手振りを交えて、これまでの経緯を説明した。


「驚いた……。ミミ、消えたのか……」


「自殺か、逃走か、わからないんですけどね。とにかく、ミミ助がいなくなったんです」


「んー。昨日、オレ、ミミと電話で話したぜ」