艶のあるボブヘアの後ろ姿が見える。


真帆だ。


「真帆!」


「ミチコ?」

振り返った真帆は、泣きはらしたような顔をしていた。


「真帆、どうしたの?」


「吉川ヨシオ君、いなくなっちゃった……」


「え!?入院してたんでしょ?」


「病院からいなくなってて……携帯もつながらないし……」


「え……」


「どうしよう……。どこにいるんだろう……」


「実は、橋本ミミさんもいなくなったんだよ」


「えぇ?」


「どこまで話聞いてる?」

「沼袋部長から、ミミが怪しいって結論になったってとこまで……」


「昨日、目黒さんが、ミミさんに、そのことを言ったの……。そうしたら、そのままいなくなっちゃったみたいで……」


「それって、犯人と被害者が一緒にいなくなったってことだよね……どうしよう……」


「人質を連れて逃走……!」


「ミチコ~、どうしよう……」


真帆はしくしくと泣きだした。



しばらく真帆をなぐさめていると、ドアが開き、、揚げ物のにおいとともに、平田と目黒さんがやって来た。


二人ともケンタッキーフライドチキンの袋を両手に持っている。


「ブランチですよう」

平田はなかなかご機嫌な様子だ。