「ミミさん、ちょっと話があるの。二人になれない?」
私が言うと、ミミは泣きそうな顔になった。
まるで、私がいじめているみたいだ。
「おいらたちは仕事に今すぐ行かないといけないんだ」
オード卵が、ミミと私の間に入って言う。
お姫様を守るナイトのようだ。
「ほんのちょっとだけ話せないかな?」
「ミミちゃんは忙しいんだ」
「そう……。あとで電話しても良い?」
「オマエ、番号知ってるのか?」
オード卵が言う。
「部長か山嵐さんにミミさんの番号教えてもらって良いかな?」
橋本ミミは、はっとした表情をした。
沼袋部長のことをここで出したのはまずかったかもしれない。
「勝手に電話番号聞くなんて、ストーカー行為だぞ」
オード卵が言う。
「ヒヒヒヒ」
鶴見ミツルは私とオード卵のやりとりを見ながら笑っている。
「ミミさんっ!」
呼んでも、ミミは俯いて、こちらを見ようとしない。
「ミミちゃんが迷惑がってんだよ。オマエ、しつこいぞ」
オード卵が、私の肩を掴む。
「触らないでよ!」
とっさに私はその手を払った。
「オマエ!」
オード卵は私の両手を掴んだ。
オード卵の持っていた金魚の袋が落ちる。
「キャ!」
すかさず鶴見ミツルが金魚をキャッチする。
いつまでもしゃがんでいたのは、これを見越していたのだろうか。
「や、やめて……」
ミミが言う。
オード卵は我に返って、私の手を離した。
その時、すごい勢いで目黒さんと平田が走ってきた。
「うわあ。なんだよ。こいつら」
オード卵が叫ぶ。



