見ると、黒い浴衣を着た山嵐ノゾミとじんべいを着たオード卵が二人で歩いている。


私たちは、かき氷の屋台の影に隠れて様子をうかがった。


山嵐ノゾミが誰かに手を振る。


鶴見ミツルだ。


鶴見ミツルは、気持ち悪いタコの柄の浴衣を着ている。

3人はお互いの服装について意見を言い合っているみたいだ。

オード卵が、鶴見ミツルの浴衣のタコ柄を指差してげらげら笑っている。


しばらくして、橋本ミミが現われた。


薄い緑色の可愛らしい浴衣姿だ。


長い黒髪と浴衣がよく合っている。


「山嵐ノゾミ様とミミさん、仲直りしたみたいですね」

平田が言う。


「本当。いつの間に。そういえば、沼袋部長、今日のこと山嵐さんに聞いたんでしょ?」


「らしいですね」

目黒さんが言う。


「山嵐ノゾミさんって何考えてるんだろう。悪い意味じゃなくね」


「まあ、いろいろあるんでしょう」


「っていうか、金髪女から売女に自首をすすめてもらうことってできなかったんですか?」


「手は貸すけど、手は出さないっていうスタンスみたいね」


「さすが、大人の女性は違いますねえ」


双眼鏡でリス研の集団を見ながら平田が言う。


「平田先輩、何見てるんですか?」


「山嵐様のうなじです」


相変わらず気持ちの悪い男だ。