「ミチコ先輩??」


「コンクール……」


「ほえ」


「クラリネットのコンクールだよ!」


「確かに楽器の演奏って、お金がいくらあっても、怪我をしたらできなくなりますね」


「例え、突き指程度でもね!」


「橋本ミミ!」

平田が叫んだ。


「やっぱりあの売女!」

目黒さんが鬼の形相になる。


「目黒さん、待ってくださいよう。ミミさんにはアリバイがあったじゃないですか」


「真帆先輩たちが襲われた時、沼袋部長とテレビ番組のことについてチャット状態でメールしてたってやつですよねっ」


「そうです」


「見てください!」

目黒さんは携帯電話をテーブルに置いた。


携帯電話の液晶画面には、サイコロを振ってゲストがトークする番組が映し出されていた。


「これ、なんだと思います?」


「……ごきげんよう?」


「ワンセグ携帯です!」


「テレビが見られるやつね」


「ミチコ先輩の携帯は古くてテレビが見られないと思いますが、私の携帯では、ばっちり観られます」


「ミミさんのは?」


「今はたいてい観られるんです。ミミ助のアリバイは崩れたも同然です」


「確かに、もはや、全然アリバイにならないね」


「やっぱりあの売女が犯人確定ですね」


「他の事件も……ミミさんが犯人だと思うと辻褄が合うよ」


「えぇっ」

平田が言う。


「……お台場デート中の沼袋部長に脅迫状をこっそり渡すのも、ミミさんなら簡単にできるよね」