「平田、自分の携帯は?」


「なくしましたよ。僕、こう見えても、たこ焼きパーティー帰りに襲われたまま、ずっと家に帰っていないんですよ」


「ちょっと!山になんて登ってる場合じゃないでしょ」


「お風呂も入ってません」

「うわっ」


「まっ。遅いしそろそろ帰りましょうか」


「日暮れ前に帰ったほうが良いな」

ハジメが言う。


「平田だけ先に帰ったら?」


「いや。駅まで平田と一緒に行けたほうが良いな。夜道は危険だからな」


「ハジメが駅まで送ってよ」


「駅前はテリトリー外だ」


「うーん」


「まあ、帰りましょうよ」


不完全燃焼のデートだったが、私はあきらめて家に帰ることにした。