目黒さんの書いたメモのコピーを見ながら、私は考えていた。


先輩である私を気遣って、私のところだけ、悪いところの項目が無しになっている。


大体、この、良いところ、悪いところの項目は必要だったのだろうか。


悪いところの項目は、ただの悪口にしか見えないような気がする。



「まあ、ほめられて良かったじゃん」


ハジメが苦笑いして言う。


「先輩へのお世辞でしょ?」


「そんなことないですよう」

と、平田。


宣言通り、平田は山についてきてしまった。


二人きりのデートのはずが、とんたお邪魔虫だ。



「で、山賊の旦那はどう思いますか?」


「字がうまいな」


「まあ、うまいですよね。で、この被害者の共通点ですよ。なんだと思います?」


「大学生だな」


「ちょっとぉ!ミチコさんとこの山賊、天然じゃないですか?」


「ハジメは天然じゃないよ」


「そうですか」


なかなか話が進まない。


「まあ、俺もチームの一員らしいから、頑張らないとな」

ハジメが言う。


「本当、ハム研だけを狙った犯行ならまだわかるけど、ウルフさんが襲われたのが謎ですよねえ」

平田が言った。