二日後。

平田とウルフを捕まえたという連絡がハジメからあった。


ハジメの家に行くと、しましまの服を着せられた二人が、ぷりぷりとケンカをしていた。


「ウルフさんが、そんなんだから、山賊に捕まるんですよう」


「オマエが変な椎茸みたいなやつ齧って腹を壊すのが悪いんだろ」


「こっの~~……あっ!ミチコさん!」


「平田、良かった。無事だったんだね」


「無事じゃないですよう。山賊に捕まって大変だったんです」


「あはは」


「笑い事じゃないですよ」

ハジメが、麦茶を持ってやってきた。


「わっ。山賊!」


「ミチコ、御覧の通り、すっかり洗脳は解けたよ」


にっこり笑ってハジメは言った。


「ミチコさんっ、山賊と知り合いなんですか!?」


平田が目を丸くして言う。


「知り合いっていうか私の彼氏……」


「え……ええぇぇえ!!?」


「まあ、いろいろあってね」


「ふん。おませさんだな」


ウルフ中川が言う。


「ハジメ……」


「何?」


「洗脳されていた時の記憶とかはどうなの?」


「ばっちりあるよ」


「そうなんだ」


「ちょっと、ミチコさん。なんで僕らに直接聞かないんですか。いくら付き合っているからって……」


「俺の場合は……」

ウルフが言った。


「俺の場合は、気付いたら山にいた……。ひっそりと山で暮らさないといけないと思い込んでたな」


「合コンの日の夜に襲われたんですか」


「翌日の早朝だったかな……っていうか、君、ハム研のスパイだったんだってね」


「スパイっていうか……」


「平田から全部聞いた。あの合コン、結構気合い入れて行ったんだけどな……なんてね」


「ごめんなさい」


「ははは。良いさ。気にするな。いや、あの時、男子トイレで、メンバーの一人を見た時はびっくりしたな」