山のふもとまでハジメに送ってもらうと、私は弟のもとに走った。

テーピングをしてもらって、打撲は驚くほど楽になっていた。


弟は、同じ姿勢で道路に寝ていた。


「橘ー」

声をかけると弟はもぞもぞと動いた。


大丈夫そうだ。


「起きられる?」


「ばっちり」


頼もしい答えだ。


ふらふらした足取りの弟と、だめもとでお弁当屋さんに行ってみると、ちょうどおかみさんが戸締まりをして店を出るところだった。


「汚くないよ」

おかみさんはそう言って、ポリバケツからごはんとお惣菜を出してくれた。



「アネキ、怪我したの?」


「橘が寝ている間にいろいろあったの」


「へえ」



川原に戻ると、ホームレスの数は半分近く減っていた。


遅くなったので寝てしまった人もいるのだろう。


お惣菜に唐揚げが入っていたという理由で、かなり盛り上がり、宴は夜中まで続いた。