無印良品のセールで買った黄土色のワンピースにレギンスを合わせて、私は鏡の前に立った。


地味だ。


足元はもちろんビーサン。

ハワイアナスのピンクのビーサンで、お気に入りだが、これなら汚れても洗える。


弟は薄いグレーのスーツを着ている。

我が弟ながら、良い男だ。

ぱっちりとした二重に、調えられた眉。

無造作にセットされた茶髪。

ホストクラブの客が弟に夢中になる理由がわかる。



バイクにまたがり、私たちは川原に向かった。


川原に着くと、まず目立つバイクを茂みに隠した。


すでにブルーシートの村の端っこに、ホームレスたちが集まっている。


婆とししゃもさんが私たちに手を振った。

集団にひじきさんの姿は無い。

まだ怪我が良くならないのだろう。


集団の輪の中心ではカセットコンロの上にゆきひら鍋が乗せられて、何かが煮られている。


覗き込んでみると、ソーセージやうどんだった。

なかなか個性的な鍋だ。


「紹介しよう。これがペスの恩人のお姉ちゃんだぁ」

ししゃもさんが言う。


「こ、こんにちは」


私があいさつすると、みんな笑顔でむかえてくれた。

顔は黒いが、よさそうな人たちだ。

最初は抵抗があったが、ホームレスといえども同じ人間だ。

婆の作ってきたキッシュと唐揚げを頬張り、安酒を飲んでいると、だんだん楽しい気分になってきた。