次の日。



すっかり寝坊してしまって、私が目覚めたのは昼過ぎだった。


リビングに行くと、弟がちょうどどこかから帰ってきたところだった。


白いTシャツに薄い水色のデニムを着ているが、ところどころ黄土色のシミがついている。


「アネキ!」

興奮したように弟は言った。


「朝からどうしたの?」


「もう昼だぜ!そんなことよりも、お手柄だったらしーざゃん!」


「ざゃん!?」


「ペス、アネキが見つけたんだろ!」


「あひるのペス?」


「そうそう」


「どうしてそれを橘が知ってるの?」


「今、婆んとこに行ってたんだ。そこで聞いたんだよ」


「え。婆?」



「料理習っててさ!そしたらししゃもさんが来てさ!すっげぇ喜んでたよ」


「それは良かったわ」


「でさっ、パーティやるって!今夜!もちろんアネキも呼ばれてるぜ」


「え!?ホームレスとパーティ!?どんなことするのよ!?」


「ワンカップおおぜきとか、紙パックの日本酒飲むんだ」


「日本酒苦手」


「スーパーのお惣菜の安くなったやつも買うらしいぜ」


「婆の手料理は?」


「もちろんある」


「でも、私、行きたくないな。ホームレスのパーティなんて」


「そんなこと言わずに、来てくれよ」


「えー」


「アネキが主役なんだからさ」


弟に説得されて、私はしぶしぶパーティに参加することにした。