山嵐君の手作りハンバーグを食べて、缶チューハイを飲んで、ご機嫌で帰宅している最中の出来事だった。
山嵐君は、大学の近くで一人暮らしをしているんだ。
家を出て歩いていたら、突然、後ろから襲われたんだ。
それから、バットのようなもので脇を思い切り叩いてきたんだ。
痛みで僕はふっとんだね。
相手は、地面に倒れた僕を蹴ったり、バットで叩いたりした。
そのうち僕は意識を失った。
気付いた時にはお弁当屋さんの裏だった。
襲われた地点から、少し離れていたから、何十メートルか引きずって運んだらしいって警察は言ってたね。
新品の靴のかかとが台無しだよ。
「大変でしたね」
私が言うと、沼袋部長は深く頷いた。
「犯人はどんな人だったんですか」
「フルフェイスのヘルメットを被っていたから、顔はわからなかったよ」
「そうですか」
「ただ、髪は長かったと思う」
「女!?」
「ヘルメットから毛先が20センチくらいはみ出ていたんだ。かなり長いだろ」
「へえ」
ドアが空き、平田と目黒さんが入ってきた。
沼袋部長は、私に話したのと全く同じ話を二人に聞かせた。
驚いたことに、言い回しまて、ほとんど全て同じだった。
平田と目黒さんは、興味深そうに相づちをうちながら話を聞いていた。
同じくらいのふっくら具合なので、二人で並んでいると、まるでそれが世間の標準体型なような気がしてくる。
「そういえば、殴られる前、妙なことをされたんだ」
沼袋部長が言った。
それは、さっき聞いていない話だ。



