山賊眼鏡餅。

「ミチコ……」

ハジメは、びっくりしたような顔をして言った。


「ミチコ……。良かった。もう来てくれないかと思った……」


「ハジメ……」


「なあに?」


「私のハムスター盗んだでしょ」

絶対言えないと思っていた一言をごく自然に言ってしまった。


ハジメの肩には、

ハムスターが、ちょこんと乗っていたからだ。


見覚えのあるハムスターだ。


「へ?」

きょとんとしてハジメは言った。


「これはハムスターの影彦だよ」


「もしかして、あひるの影五郎となまずの影吉もいるんじゃないの?」


「あれ。あひるがいるって良くわかったね。あひるの影雄と……なまずは今日の昼ご飯だ」


「やっぱりハジメが全部盗んだの!?」


「違う」


「嘘!」


「おかんにもらったんだ」


「そんな……」


「誕生日だったんだ」


「ハジメが?」


「そう」




ハジメの誕生日があったなんて全然知らなかった。




「ミチコに嫌われて俺が落ち込んでたから、奮発しちゃったみたいで……」


「それでハムスターとあひるとなまずを?」


「ミチコのハムスターだったなんて知らなかったよ。ごめん。冴えない男がハムスターの籠をかかえてよろよろ歩いていたから盗ったって言ってた」


私は大きなため息をついた。

「やっぱり、私、ハジメのことがよくわからないよ」


「ごめん」


「どうして人の物を盗むの?お弁当屋さんに空き巣にも入ったんでしょう」